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エッセイスト菊池木乃実のブログです。環境活動家の夫、ポール・コールマンと共に南米チリのパタゴニア地方に在住。ホリスティックで持続可能なライフスタイル実践中


by lifewithmc
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革命慣れしている?

11月7日(火)曇り

昼からオアハカへ行く。コレクティボに乗り合わせたJorgeという男性がとてもフレンドリーな人で、ポールと彼はスペイン語で会話をし、家の地図を交換し合っていた。
「オアハカ市内に住んでいるので、遊びに来て」と携帯の番号も教えてくれた。いつか、電話をして遊びに行ってみよう。

Zocaloでランチ。Zocaloの周りには、2000人以上の国家警察が駐留していた。Zocaloへ行く道にはすべて警察の車がずらりと止まっていて、警察隊が道をふさいでいる。彼らは、マシンガンなどの武器を何種類も携帯しており、警官というよりはフル装備をした兵士という感じ。広場はまるで戦場のキャンプ地の様な気配で、時々、APPOのメンバーかと疑われた人が尋問を受けたり、所有物を没収されたりしていた。Zocaloの周りのホテルやレストランは、すでにペンキを塗り替え、落書きやスローガンはきれいに消されていた。
「さすが、革命慣れしている!」と私もポールも感心する。道端には、ペンキ塗りの職人がずらりと並んで仕事をしている。ペンキ塗り職人は大忙しだ。
「あと一ヶ月もすれば、何もなかったようにきれいになるだろうね」とポール。メキシコの人たちは、みんなのんびりしているのだろうと思っていたので、素早い対応に驚いた。ホテルやレストランは、革命が始まって以来、数ヶ月、夜は門を厳重に閉め、ガラスが割られたりしないように注意して過ごし、スプレーで落書きをされるままになり、観光客が激減してもそれに耐え忍んできたのだから、「やっと終わった!」という気持ちなのだろう。いつもは、鉄格子を締め切っていたホテルや高級宝石店なども、ドアを開けている。街が見違えるように明るく見える。歩いている人たちも、晴れ晴れとした笑顔だ。

いつも行くレストラン、Terranoavaも、ビジネスランチをしている人たちで席がいっぱいなので、驚いた。リッチな身なりをしている人たちをオアハカに来て初めて見る。ラップトップをテーブルに置いてミーティングをしている人たちは、20代後半から30代の男性と女性のグループ。カジュアルだけどお洒落な服装をしていて広告代理店化マスコミのような雰囲気。もうひとつのグループは、40代の男性と30代後半の女性のグループ。こちらは何となく、金融関係と言う感じ。もうひとつは、20人くらいの30代から50代の女性のグループ。こちらは、ドナ・キャランのTシャツを着て、ディオールのサングラスをかけている種類の人たち。さりげなくブランド物を着ているところを見ると、お金持ちの奥様たちのグループという感じだ。オアハカ市は州都なのだから、マスコミ、金融関係、商社などあらゆる職種のビジネスマンや裕福な人たちが暮らしているのは当たり前なのだけれど、革命が起きている間、彼らはいったいどこにいたのか、一人もそういう人たちを街で見かけたことはなかったので、(いつも見かけるのは、富の集中や資本主義に反対する人たちだったし、村で見かけるのは、インディアンの人たちか農家の人たちだった)ものすごく驚いたのだった。

革命が終わってみな普通の生活に戻り、経済も普通に戻りつつあるようだ。いつもは5,6人しかいない店のお客は、10倍に増えていて、店のマネージャーと、ウェイター一人、ウェイトレス一人しかいなかったスタッフも10人に増えていた。

広場の周りを囲む建物は、どれもまんべんなく落書きされ、バナーが掲げられていたけれど、落書きはすべて消され、バナーは取り外されて、広場は見違えるほどきれいになり、明るくなっていた。広場に座り込みをしていた人たちは全ていなくなり、代わりに、広場は警察官で埋め尽くされ、革命家たちのテントやテーブル、椅子などは全て撤去されて、代わりに警察隊の人たちが寝泊りするテントが立てられ、寝袋などが置かれていた。でも、警察官たちはとてもリラックスしていて、休日のピクニックという感じ。アイスクリームを食べたり、女の子と話し込んだりしている。広場の北側には、警察官が食事をする場所があり、テーブルの上に、大きな鍋が並べられ、マスクをした警官が給仕をしていた。みんな、広場に座り、思い思いに食事をしている。食事は、トルティアと豆をチリソースで煮込んだシチューのようなものだった。警察官たちは、テントや車の中や広場でそのまま寝ているようだった。

オアハカ州知事辞職はトップニュースで、テレビで流れ、インターネットのニュースでもトップに報道されていた。メキシコ中、この話題で持ちきりだ。

ポールがオアハカ市を歩いた15年前も、オアハカでは革命が起きていて、ハイウェイでバスが燃やされたりしていたらしい。歩いている場面が報道された新聞の写真を見ると、彼が歩いている背景に燃やされて横倒しになったバスが写っていた。

オアハカは革命が繰り返される街・・・らしい。
革命慣れしている?_d0107620_31278.jpg
by lifewithmc | 2007-03-20 03:10 | メキシコ・山の暮らし