エッセイスト菊池木乃実のブログです。環境活動家の夫、ポール・コールマンと共に南米チリのパタゴニア地方に在住。ホリスティックで持続可能なライフスタイル実践中


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雲を消す

10月25日(水)晴れ

エネルギーに満ちて目が覚めた。久しぶりにすっきりした感覚。

シャワーを浴びてテラスでコーヒー。鳥があちこちでコーラスしている。ハチドリもやって来てダンスを踊ってくれる。鶯に似た鳥が鶯に似た声で鳴く。今日も生きていてよかったと思う。

大きくて青い空に、細胞の集まりみたいな雲が出ている。大きいのを消そうとやってみる。10年くらい前、よく雲を消す練習をしていた。ひとつ選んで、消しゴムで消していくようにイメージすると、面白いように消えていくのだった。でも、今日はなかなか消えない。「無理か」とあきらめかけて気がついた。最初に「大きいから無理かな」と思って始めたので、なかなか、消えないのだ。「大きいから無理かな」と思ったら、どんなに消そうと頑張っても、「大きいから無理」なのである。「そうか、大きいけど消える」と思ってやったらどうだろう。そう思って、試してみたら、なんと、1、2分で消えたのだった。面白い!やっぱり、「念じれば通ず」というのは、本当なのだ。

朝日を浴びながら、ヨガをする。気持ちがいい。毎日、なるべくヨガをしてエネルギーチャージしよう。メリダで挫いた右の足首はやっと完治しそう。1ヶ月かかった。

夕方、小川の方で、誰かが木を切っている音がするので見に行くと、12歳ぐらいの男の子が枯れた木を切り倒してきて、運ぶために川原で短く切っていたのだった。そばに、母親と14歳ぐらいの女の子、10歳ぐらいの男の子がいた。「ブエノスタルデス」と挨拶をして、私たちも枯れた枝を拾って帰宅。庭で火をおこし、紙ごみを燃やしていると、先ほどの女の子弟らしき小さい男の子がやってきた。

「Tiene lena? (レーニャ、ありますか?)」と女の子に聞かれる?
「レーニャ? ロープかな?焚き木をロバにくくりつけるんじゃないの?」とポール。
「ロープ?」ポールが英語で聞き返してみるが、女の子は「レーニャ」と繰り返すばかり。
「えっと、焚き木をロバにくくりつけるの?」英語とスペイン語を混ぜてポールが聞くと、今度は、「うん、うん」とうなずいている。
「ロープだよ、きっと。オーケー、貸してもいいけど、あとで必要だから、返して?いい?」
ポールが言うと、女の子はニコニコ笑っている。

「彼女、わかってるのかなあ?」と私。なんとなく、会話が噛み合っていないような気がする。ともかく、「ロープを持ってきて」とポールが言うので、家へ戻り、ロープを探した。すると、ふと、スペイン語の辞書が目に付いた。「レーニャ」という言葉を引いてみると、「焚き木」と書いてあった。
「ねえ、レーニャは、薪だって」ポールのところへ戻って、辞書を見せた。

「焚き木?」
ポールが女の子に辞書を見せると、彼女と弟は、「うん、うん」とうなずき、「薪を売ってくれませんか?」と言ったのだった。
「私たちに、薪を、売って、ほしいの?」片言のスペイン語で私が聞き返す。「Si!」と彼女が微笑む。私とポールは顔を見合わせた。薪はあることはあるけど、売るほどはない。きっと、家族で薪を探しに来たものの、枯れた以外は切ってはいけないと、法律で決まっているので、(なかには、生きている木を切り倒していく、心無い人もいるけれども)今日は十分な薪が見つからなかったのだろう。
「えーと、薪は、少ししかないんだよ。自分の家の分しかないんだ」
「そう、売ることは、できないの」
私たちがそう言うと、女の子は顔を曇らせた。と、ポールが、燃やそうとして家から持ってきた薪が一本だけ転がっているのに目を留めた。

「これをあげる」ポールが太く、大きな薪を手渡した。
女の子と弟は顔を輝かせて薪を受け取り、「いくらですか?」と聞いたので、
「Gratis (プレゼント)」と言ってあげたのだった。
「ありがとう!」女の子は、大きな薪を両手で抱え、すこぶる嬉しそうに笑いながら、弟を連れて夕暮れの中へ消えていった。
私とポールは二人にさよならを言った。「Hasta Luego!(また会いましょう)
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by lifewithmc | 2007-03-10 06:43 | メキシコ・山の暮らし