エッセイスト菊池木乃実のブログです。環境活動家の夫、ポール・コールマンと共に南米チリのパタゴニア地方に在住。ホリスティックで持続可能なライフスタイル実践中


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自然のスイッチをオンにしたら

10月21日(土)晴れ

気の毒にポールは昨夜、眠れなかったらしい。
「ネズミがあれにくっついて、もがき苦しんだら、かわいそうだな。苦しみながら死ぬんだったら、いっそのこと、どうにかして即死させたほうがいいのかな。でも、殺したくないな、と考えていたら、とうとう眠れなかった」と彼は言う。
「コノミはいいよね。何もしなくていいんだから。まったく、ぐっすり眠ってたよ」と不満げだ。ネズミ捕りには、何の変化もなし。ネズミの糞も落ちていないところを見ると、ネズミは戻って来ていないらしい。サソリもここ3日ほど姿を見せていない。このまま、ネズミもサソリもどこかへ行ってくれることを祈る。

テラスでコーヒーを飲んでいると、今朝はまた、ハチドリがやって来た。ズズズズという大きな蜂の羽音に似た音を立てて何かが飛んできたので、ふと見ると、小さな鳥が直立して、羽をものすごい速さで羽ばたかせて、あっという間に飛んでいってしまったのだった。
「ハチドリ?」
「そうだよ。また、来たね」
「うわー、感激だ!!」と喜んでいると、また、やってきて、しばらくホバリングしたあと、テラスの手すりの上に止まったのだった。
「うわあ、珍しいな。ハチドリが止まっている姿を見られるなんて、めったにないよ」とポールも興奮している。よく見ると、ハチドリは頭から背中が鶯色で、ストローのような嘴は赤く、お腹から尾にかけて、真っ白だった。
ハチドリは、何度もどこかへ飛んで行っては戻ってきて、私たちをじっと見ているようだった。
「こんにちは」と挨拶しているようにも見える。
「きっと、僕らをチェックしているんだね」とポールが言う。
「しばらくして、僕らは安全だとわかったら、もっと近くまで寄ってくると思うよ」
私は、一気にハチドリの可愛らしさに魅了され、ファンになった。

今日は、そのあと、大きな黄色い蝶や黄色とうす緑色のカナリアのような鳥がテラスに木陰を作っている木に止まり、1メートルぐらいの近さで見ることができた。黄色や赤、マゼンタ色の花も太陽の光で輝いている。小川のせせらぎの音を聞き、行きかう蝶や鳥を見ているだけで、幸せな気持ちになり、「生きているだけでいいんだ」という気持ちになってくる。

東京にいる頃、大切だったのは、会社に遅刻しないこととか、仕事の失敗をしないこと、お給料をきちんと毎月もらうことだった。でも、今、大切に思うのは、私たち一人一人のこころとからだと精神のバランスが取れて健やかであることと、私たちを生かしてくれる地球・自然・動物や昆虫たちと人間のバランスが健やかであること。それだけが大切なことに思える。私たち、ひとりひとり、からだと心と精神のバランスを健やかに保つのは、私たちの責任だし、地球のバランスを保つように生きるのも、私たちの責任。バランスを保ちつつ生きることを、自然は当たり前のこととして命のなかに組み込んでいるけれども、人間だけがスイッチをオフにして、見て見ないふりをして生きているように思える。私たちの中にある自然のスイッチをオンにしたら、頭で考えるよりはるかにシンプルにたやすく、バランスのとれた生き方ができるんじゃないかと思う。

こうして、自然に溶けて暮らしていると、自然に無駄ができなくなる。無駄に何かを殺したり、無駄に食べたり。そういう無駄は、自然の中にはないので、自然に溶けて暮らすと、無駄が自然にできなくなる。

一昨日、スーパーで買ってきたコーヒーは、オアハカ産でオーガニックだということがわかった。地元で作られているものを買うのも省エネの秘訣。野菜、果物、チーズ、豆類などは地元産をマーケットで買う。コーヒーはオアハカ産、紅茶、ハーブティーは、ベラクルス産。オリーブはメキシコ産。

自分たちの家を建てるときには、私たちの好きなものが地元で作られている場所にしようとポールと話し合った。

馬に乗った農ポール、牛を連れた少年、ヤギを連れた夫婦などが小川の向こう側の小道を山へ向かって登っていく。日が高くなったので、テラスから部屋へ入り、ポールは読書。私は日記を書く。ふと、犬の気配を感じてポールが外を見ると、なんと、ヤギの群れが庭の花をむしゃむしゃ食べている。この間と同じ群れだ。言ってみると、この間、ヤギを連れてきた少年の父親らしき男性。「通りがかっただけだよ」と、少年と同じ言い訳をする。
「ここは、私有地だからだめですよ」と言って出て行ってもらう。

夕方、サボテンのサラダを作る。サボテン、トマト、アボガドをダイス切り、ニンニクをみじん切りして、サルサヴェルデ、醤油で味付け。サボテンは、ヌルヌル、コキコキして、まるで茎ワカメのような食感。ここでは、海草が手に入らないので、久しぶりに茎ワカメを食べたような気になって、満足する。
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by lifewithmc | 2007-03-03 07:45 | メキシコ・山の暮らし