村まで歩いて30分
2007年 02月 24日
10月6日(金)曇り
朝、目が覚めると、小川の音が聞こえた。窓の外は少し曇っていて、森が風に揺れている。今日は、かなりひさしぶりにヨガをやりたい気分になり、1時間ほどヨガをしてから朝食にした。朝食は、パパイヤ、グァバ、蜂蜜、ミントの葉を刻んだものを混ぜて一晩冷蔵庫で冷やしたものとミントティー。身体はかなり果物を欲していたようで、パパイヤもグァバもそのまま身体にしみこんでいくようだった。今日は、牛飼いの少年も来ず、午前中は本を読んで過ぎた。
午後は、一番近い店まで歩いて行った。家から小川沿いを南に下り、右に折れて川を渡る。川を渡ったときに、いっせいに黄色や白、紫の蝶が舞い上がって、恍惚とした気持ちになった。道すがら、珍しい花や昆虫を見つけ、ポールは写真を撮りながら歩く。すれ違うトラックの運転手はみな、満面の笑みで手を振り、「ブエノスタルデス!」と挨拶をしてくれる。村のおばあさんや、農家の人たちとも挨拶をしながら歩いていく。しばらく歩くと、汗ばんでくる。村の灌漑用の貯水池を過ぎ、陽気な音楽をいつも流している酪農家の家を過ぎる。通るたびにいつも灰色のロバがつないである小屋を通り過ぎ、「ハロー!ブロ!」」と声をかける。ブロというのは、スペイン語でロバの意味。灰色のブロは、私たちを見て、「イイオーン、イイオーン」と大きな鳴き声で答えてくれた。(それから、毎回、ロバのそばを通ると、どのロバも例外なく、ポールを見るや否や、「イイオーン、イイオーン」と鳴くことに気がついた。彼らは、ポールに挨拶をしているらしい)
メキシコの農村では、ロバが大活躍している。焚き木を運ぶ、荷物を運ぶ、牛の食べさせる草を運ぶ。何でもロバに乗せて、その傍らには、たいてい赤銅色に日に焼けたおじいさんが歩いている。時には、小さな男の子も一緒に歩いている。男の子はおじいさんについていって自然に仕事を学んでいく。おばあさんたちは、たいてい女の子と一緒にいる。女の子はおばあさんにくっついて、女の仕事を学んでいく。
ここでは、男の仕事と女の仕事は、はっきりと分かれているようだ。山へ行ったり、畑で働いたり、放牧したり、力仕事全般は男の仕事。家事・子育て全般、縫い物や刺繍、果物や野菜を売ったりするのは女の仕事。女の人は女の仕事を楽しんでいるし、男の人はプライドを持って男の仕事をしている。カトリック教徒が多いので、離婚できず、家庭内暴力に悩んでいる女性も多いと聞いたけれど、少なくても、私たちが外側から垣間見た限りでは、この村ではそんなことが起きているということは信じられない。
村に一軒だけある手作りトルティアのお店では、10歳ぐらいの女の子が一人前にトルティアを売っているし、オアハカに来る前に立ち寄ったサン・クリストバル・デラス・カサスでは、女の子は4歳ぐらいから刺繍したハンカチなどを観光客に売っていた。子供も家族の一員として立派に働いているし、村の一員として経済にも貢献している。貧しくても母親や父親、おじいさん、おばあさんと一緒にいる子供たちは、とても満ち足りていて、安心しているように見えた。
30分歩いて、村にひとつだけあるインターネットカフェへ入った。インターネットカフェといっても、小さな小屋にコンピューターが4台置いてあるだけのシンプルなもの。オーナーは、ピエールさんという、メキシコ在住25年のアメリカ人だった。
「そのうちサテライトにする予定なんだけど、今はダイヤルアップなんだ」と言うとおり、インターネットはかなりスローで、メッセージをひとつ送るのに30分かかった。
グロリアさんには、私たちの借りている家に、ケーブルテレビを引いて高速インターネットをつないでもらうように頼んであるけれど、どうなることやら・・・
「ケーブルテレビ?あそこまでケーブルが来るのかなあ。電話線も通ってないけど?」
グロリアさんの敷地のすぐ北側に住んでいるピエールさんは、訝しげにそう言った。
ともかく、緊急時以外は、エトラまで行って、ブロードバンドを使おうと決心し、向かい側のお店に立ち寄って、パンを買った。パンは全粒粉で、村のパン屋さんで焼いて毎朝お店に配達される、とピエールさんが説明してくれた。ピエールさんも家に帰るというので、一緒に歩いて帰る。ピエールさんの家は、私たちの家の北側にある。グロリアさんの土地は13ヘクタール、ピエールさんの土地は10ヘクタールあるそうだ。ピエールさんがお茶に誘ってくれたので、家まで遊びに行った。同じ土地に住んでいるチャーリーさんと4人でお茶を飲み、世間話をして帰ってきた。ピエールさんの家からは、アルファルファの畑を通り、家の裏の花畑を通り、500メートルぐらい歩いて帰ってきた。一番近いお隣さんは500メートル先なのだ。
夜、オリーブオイルと海の塩(沖縄から持ってきた)をつけて全粒粉のパン食べたら、これが意外と美味しかった。夕食は、タマネギ、トマト、キュウリ、ニンニク、シアントロ(コリアンダー)のみじん切りに、ライム、オリーブオイル、アンデスの岩塩・ローズソルト(これも日本から持ってきた)を混ぜてサラダを作り、パンと一緒に食べた。ともかく、近くで(と言っても、歩いて30分かかるけれど)1個15ペソ(約15円)と格安で美味しいパンが手に入ることがわかって、ほっとした。
朝、目が覚めると、小川の音が聞こえた。窓の外は少し曇っていて、森が風に揺れている。今日は、かなりひさしぶりにヨガをやりたい気分になり、1時間ほどヨガをしてから朝食にした。朝食は、パパイヤ、グァバ、蜂蜜、ミントの葉を刻んだものを混ぜて一晩冷蔵庫で冷やしたものとミントティー。身体はかなり果物を欲していたようで、パパイヤもグァバもそのまま身体にしみこんでいくようだった。今日は、牛飼いの少年も来ず、午前中は本を読んで過ぎた。
午後は、一番近い店まで歩いて行った。家から小川沿いを南に下り、右に折れて川を渡る。川を渡ったときに、いっせいに黄色や白、紫の蝶が舞い上がって、恍惚とした気持ちになった。道すがら、珍しい花や昆虫を見つけ、ポールは写真を撮りながら歩く。すれ違うトラックの運転手はみな、満面の笑みで手を振り、「ブエノスタルデス!」と挨拶をしてくれる。村のおばあさんや、農家の人たちとも挨拶をしながら歩いていく。しばらく歩くと、汗ばんでくる。村の灌漑用の貯水池を過ぎ、陽気な音楽をいつも流している酪農家の家を過ぎる。通るたびにいつも灰色のロバがつないである小屋を通り過ぎ、「ハロー!ブロ!」」と声をかける。ブロというのは、スペイン語でロバの意味。灰色のブロは、私たちを見て、「イイオーン、イイオーン」と大きな鳴き声で答えてくれた。(それから、毎回、ロバのそばを通ると、どのロバも例外なく、ポールを見るや否や、「イイオーン、イイオーン」と鳴くことに気がついた。彼らは、ポールに挨拶をしているらしい)
メキシコの農村では、ロバが大活躍している。焚き木を運ぶ、荷物を運ぶ、牛の食べさせる草を運ぶ。何でもロバに乗せて、その傍らには、たいてい赤銅色に日に焼けたおじいさんが歩いている。時には、小さな男の子も一緒に歩いている。男の子はおじいさんについていって自然に仕事を学んでいく。おばあさんたちは、たいてい女の子と一緒にいる。女の子はおばあさんにくっついて、女の仕事を学んでいく。
ここでは、男の仕事と女の仕事は、はっきりと分かれているようだ。山へ行ったり、畑で働いたり、放牧したり、力仕事全般は男の仕事。家事・子育て全般、縫い物や刺繍、果物や野菜を売ったりするのは女の仕事。女の人は女の仕事を楽しんでいるし、男の人はプライドを持って男の仕事をしている。カトリック教徒が多いので、離婚できず、家庭内暴力に悩んでいる女性も多いと聞いたけれど、少なくても、私たちが外側から垣間見た限りでは、この村ではそんなことが起きているということは信じられない。
村に一軒だけある手作りトルティアのお店では、10歳ぐらいの女の子が一人前にトルティアを売っているし、オアハカに来る前に立ち寄ったサン・クリストバル・デラス・カサスでは、女の子は4歳ぐらいから刺繍したハンカチなどを観光客に売っていた。子供も家族の一員として立派に働いているし、村の一員として経済にも貢献している。貧しくても母親や父親、おじいさん、おばあさんと一緒にいる子供たちは、とても満ち足りていて、安心しているように見えた。
30分歩いて、村にひとつだけあるインターネットカフェへ入った。インターネットカフェといっても、小さな小屋にコンピューターが4台置いてあるだけのシンプルなもの。オーナーは、ピエールさんという、メキシコ在住25年のアメリカ人だった。
「そのうちサテライトにする予定なんだけど、今はダイヤルアップなんだ」と言うとおり、インターネットはかなりスローで、メッセージをひとつ送るのに30分かかった。
グロリアさんには、私たちの借りている家に、ケーブルテレビを引いて高速インターネットをつないでもらうように頼んであるけれど、どうなることやら・・・
「ケーブルテレビ?あそこまでケーブルが来るのかなあ。電話線も通ってないけど?」
グロリアさんの敷地のすぐ北側に住んでいるピエールさんは、訝しげにそう言った。
ともかく、緊急時以外は、エトラまで行って、ブロードバンドを使おうと決心し、向かい側のお店に立ち寄って、パンを買った。パンは全粒粉で、村のパン屋さんで焼いて毎朝お店に配達される、とピエールさんが説明してくれた。ピエールさんも家に帰るというので、一緒に歩いて帰る。ピエールさんの家は、私たちの家の北側にある。グロリアさんの土地は13ヘクタール、ピエールさんの土地は10ヘクタールあるそうだ。ピエールさんがお茶に誘ってくれたので、家まで遊びに行った。同じ土地に住んでいるチャーリーさんと4人でお茶を飲み、世間話をして帰ってきた。ピエールさんの家からは、アルファルファの畑を通り、家の裏の花畑を通り、500メートルぐらい歩いて帰ってきた。一番近いお隣さんは500メートル先なのだ。
夜、オリーブオイルと海の塩(沖縄から持ってきた)をつけて全粒粉のパン食べたら、これが意外と美味しかった。夕食は、タマネギ、トマト、キュウリ、ニンニク、シアントロ(コリアンダー)のみじん切りに、ライム、オリーブオイル、アンデスの岩塩・ローズソルト(これも日本から持ってきた)を混ぜてサラダを作り、パンと一緒に食べた。ともかく、近くで(と言っても、歩いて30分かかるけれど)1個15ペソ(約15円)と格安で美味しいパンが手に入ることがわかって、ほっとした。
by lifewithmc
| 2007-02-24 05:39
| メキシコ・山の暮らし