エッセイスト菊池木乃実のブログです。環境活動家の夫、ポール・コールマンと共に南米チリのパタゴニア地方に在住。ホリスティックで持続可能なライフスタイル実践中


by lifewithmc
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

タグ:牛を追う ( 3 ) タグの人気記事

またしても、牛を追う

12月14日(木) 晴れ

今日は、家の前の小道に牛の群れがやってきた。見たことのない初めての群れ。群れと言っても、大きな父親牛と母親牛、それに、子牛の3頭。牛追いの人たちが二人、牛の群れの後ろから歩いてくる。テラスの上から見ていると、たったの3頭だけでも、ものすごい勢いで道沿いの藪をなぎ倒していくのがよくわかる。

牛たちが食べるのは、ほんの少しの、ある特定の草だけらしく、それを食べるために、藪をなぎ倒し、花をなぎ倒し、小さな木をなぎ倒して、ずんずんと進んでいく。たかが藪・・・と思うかもしれないけれど、毎日、観察している私たちにとって、そこは、何種類もの鳥が住む場所であり、鳥たちの餌になる虫たちが住む場所であり、水をやりつつ花を育てている場所でもある。たしかに、公共のフットパスではある。私たちの敷地ではないけれども、だからと言って、目の前で無残に草花がなぎ倒されていくのを見ているのは、忍びない。

「どうしようか」
「彼らは、初めてだし、ここを通っていくだけかもしれないから、様子を見てみよう」
しばらく様子を見ていると、まるで戦車が通った後のように無残にも藪がなぎ倒され、ポールが毎日、水をやって観察していた黄色い花と紫の群集が、見事に踏み潰されていた。

「ううーん。あまりハッピーな光景ではないね」
牛たちは、通り過ぎて行き、しばらくして、また、戻ってきた。台所の窓から、彼らが、ワシワシとそこら中の藪をなぎ倒している音が聞こえる。
「言ってくる」
ポールが出て行って、牛追いの人たちに話をした。

すると、彼らは牛を連れて他へ行き、もう戻って来なかった。

そして、後には、なぎ倒された藪だけが残った。
[PR]
by lifewithmc | 2007-04-16 08:36 | メキシコ・山の暮らし
12月11日(月) 晴れ

今朝は6時半に目が覚めた。パジャマのまま庭へ出て、朝の新鮮な空気を吸う。
「ん?」
野原で、何かが動いている。
「牛!」そう、昨日と同じ親子連れ。
「またか」と独り言をいい、紙ごみを燃やすときのために、庭に置いてあった木の枝をつかむ。母牛は私に気づいて、「なによ、あんた」という顔をしている。子牛も私をじっと見ている。昨日の要領で、下から斜面を登っていく。牛たちから少し離れて、ぐるりと上から回り、牛たちを見下ろした。

「ほら、行きなさい!」 枝をぴしゃりと地面に叩きつけ、日本語で言ってみる。ぴしゃりと大きな音がしたので、子牛が驚いて飛び上がった。母牛は、まだ、「なによ、あんた」という顔をして、草を食んでいる。
「ほら、行きなさい!」もう一度、今度は、子牛の近くで枝を地面に叩きつけた。すると、子牛はおびえて斜面を下り始め、母牛は、すこぶる不機嫌な顔をして私をちらりと見、仕方なく草を食べるのをやめて、斜面を降りていったのだった。

「また、牛がいたよ。母牛と子牛」ベッドに戻ってポールに報告する。
「え?で、どうした?追い払った?」
「うん。昨日の要領で上から攻めていったら、すぐに出て行った」
「よくやった。これで君も牛の追い方を覚えたね」

むむ。しかし、毎朝、牛を追うのは、避けたい。これに懲りて、牛たちが戻って来ないことを祈る。
[PR]
by lifewithmc | 2007-04-16 08:32 | メキシコ・山の暮らし

牛を追う

12月10日(日) 晴れ

日の出前に起きる。コーヒーを淹れ、(淹れてくれるのはポール)、テラスで鳥を待つ。「ん?」ふと見ると、家の前の野原で、何かが動いている。「ん?何か、今、とても見たくないものを見た気がする」とポールが言う。「牛だ」「牛だね」野原に牛がいる。大きな母牛と小さな子牛。なぜだか、2頭きり。のんびりと、草を食んでいるではないか!
「行ってみよう」
ポールは2メートルほどある棒を持っていく。この棒は、暖炉で薪を燃やしているときに、蒔の位置を変えたりするのに使っているのだけれど、ちょうど、「ロード・オブ・ザ・リング」で魔法使いのガンダルフが使っている杖のように見える。

近づいてみると、牛たちは私たちをじっと見て、「なによ、あんたたち」という顔をしている。近くに牛飼いの姿はない。2頭だけ、ここに迷い込んだんだろうか。とにかく、すでに花は枯れてしまったとはいえ、花が枯れたあとには、種ができ、秋から冬にかけての植物も生えてきている。それを牛に食べられてしまうと、禿山のようになってしまい、あとには、なかなか植物が生えない。
牛たちは、斜面の中ほどに陣取って草を食んでいる。私たちは下からそっと上がって行く。
「Vaminos!」(出て行きなさい!)と棒を振り、下から叫んでみるが、何の効果もない。
はて・・・

「どうする?」とポールが私を見る。
「どうするって、わかんないよ。牛を追ったことないもん」
「それは、僕も同じだよ」
ポールは彼らの少し下から、牛たちを見上げるような格好で杖を左右に振り、なんとか、彼らを動かそうとする。しかし、母牛も子牛も、私たちの存在を無視するばかり。一歩たりとも動かない。しばらく杖を振り回していると、母牛が大きな角をこちらへ向けて、私たちを威嚇し始めた。魔法の杖も効果がない。

すると、「わかった!」と突然、ポールが言い、斜面を登り始めた。どんどん登って、牛たちを上から見下ろす。
そして、もう一度、今度は上から、「Vaminos!」(出て行きなさい!)と棒を振ってみた。すると、母牛は草を食べるのをやめて斜面を下り始め、子牛も慌てて後を追った。2頭の牛が庭から出て行くのに、ほんの2分もかからなかった。

「上から行くのがコツだね」とポール。
「なるほど。これで、私たち、牛の追い方もわかったね」
しかし、それが何かの役に立つのかしらん?
[PR]
by lifewithmc | 2007-04-16 08:31 | メキシコ・山の暮らし