エッセイスト菊池木乃実のブログです。環境活動家の夫、ポール・コールマンと共に南米チリのパタゴニア地方に在住。ホリスティックで持続可能なライフスタイル実践中


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12月24日(日) 晴れ 

テラスのすぐ横に植わっている大きな木。ここに来たときには、今にも枯れそうに見えたのに、今までに2度、花が満開になり、そのたびに、ミツバチやアシナガバチ、小鳥たちがたくさんやってきていた。花は一気に満開になり、10日くらい咲き続けて一気に散る。葉も枯れて一気に散る。その時期は、テラス一面、落ちた花と葉で覆われて、毎日、掃除をしても追いつかない。花と葉が散り終わり、「もう、これで終わりか?」と思うと、1週間ぐらいで次の蕾が出てきて、若葉が出てくる。そして、また、薄紫色の花が満開になる。

今は、私たちがここへ来てから、3回目の満開の時期。しばらく遠ざかっていた鳥たちが、また、戻ってきた。いつも来るビジターは、鶯色と黄色の小鳥。それに、新しく、黒と黄色の縞模様の小鳥が加わった。いつも来る鳥のことは、「グリーン」とか、「レギュラーバード」と呼び、黒と黄色の縞模様の小鳥は、まるでトラのようなので「タイガーバード」と呼んでいる。しかし、正確な鳥の種類がわからない。鳥の図鑑があればいいのだけれど・・・

夕方からまた、村へ行く。クリスマスイブのお祝いがあり、村に住んでいる人は誰でも参加できると聞いて、行ってみることにした。6時ごろ、教会に着いた。教会の庭でお祭りがあるのかと思ったが、そこには誰もいなかった。しばらく、待っていると、天使の格好をした子供が三々五々、教会の中へ入っていく。白いドレスを着て、白い冠をかぶり、ふわふわした白い大きな羽をつけ、魔法の杖のようなものを持っている。次に、村人の格好をした子供たちが現れ、最後に、なんと生きた子羊を抱きかかえた男の子が現れた。どうやら、教会の中で「イエス誕生」の劇でもやるらしい。ぜひとも見てみたいと思って教会の入り口まで行ってみたけれど、中にいたのは、厳粛な雰囲気でお祈りをする人たちだけで、子供たちの姿は見えなかった。

「お祭りはどこであるんだろうね」
「ここじゃなさそうだね」
「お祭りは本当にあるのかな?」
「クリスマスイブだもの、あるでしょう」
などと言いながら、教会の庭に座ってぼんやりと夕暮れを楽しんでいると、どこからか、打ち上げ花火を持ったおじさんが2人やってきた。おじさんは、花火を長い棒の先に括りつけ、火をつけて、おもむろに花火を打ち上げる。ドッカーン!と天をつんざく音がする。この花火の音が、3キロ離れた私たちの家まで毎日、聞こえてきていたのか、と驚く。すると、花火の音を合図に、どこからか、15人くらいのバンドがぞろぞろとやってきて、教会の入り口の前に整列した。ポールが急いでビデオをまわす。と、高らかにトランペットが鳴り響き、バンドは見事に「この曲を聴けば、誰もがメキシコを思い浮かべる」であろう代表的な曲を奏で、その後、教会の入り口から、天使や村人やマリアやジョセフの格好をした子供たちが、ぞろぞろと出てきたのだった。

子供たちは整列し、バンドの後ろについて、教会から外へ出て行った。バンドが音楽を奏で、子供たちは村の目抜き通りをパレードし、その後ろに、村人がぞろぞろとついて歩いていく。すでに酔っ払って、ご機嫌になっている人もいる。私たちはパレードを撮影し、しばらく後ろをついていったあと、また教会へ戻った。
「さて、お祭りはどこであるんだろう?」
「このパレードがお祭りだったのかな?」
「もう、帰ろうか?」

そのとき、目抜き通りを何人もの村人が、ぞろぞろと連なって、天使たちのパレードが消えていった方向へ歩いて行くのに気がついた。
「行ってみよう!」
村人の後をついていくと、大きな家と家との間にテントが張ってあり、テントの中からは、子供たちが歌う賛美歌が聞こえ、道路にまで人があふれていた。テントの天井は、風船やリボンや、キラキラ光るモールがふんだんに飾りつけてあり、村人でいっぱいだった。

「アデランテ(どうぞ)」と村の人が勧めてくれたので、ありがたくテントの中に入る。するとテントの一番奥に小さなステージが据え付けてあり、その上に、天使の格好をした子供が二人、両端に立ち、左手前にマリア(メキシコの場合は、聖母グアダルーペ)の格好をした女の子、右手前にはジョセフの格好をして付け髭をした男の子、真ん中に、赤ん坊の人形(イエス・キリスト)がカゴに入っていた。ステージの横では、天使の格好をした子供たちが花火を持って歌い、ステージの前には、村人の格好をし、賛美歌を歌う子供たちの列。

そして、ときおり、列の中から、「メエエエエエ」という子羊の鳴き声が聞こえた。賛美歌は次第に盛り上がり、村人たちも一緒に歌い始める。よく見ると、両手にイエス・キリストの赤ん坊の人形を抱えた女性がたくさんいる。みな、家に飾ってあるイエス・キリストの赤ん坊の人形を持ってきて、一緒にキリストの生誕を祝っているのだった。賛美歌は2曲続き、その後、子供たちが一人一人、聖書の一説を暗誦し、最後に神父さんが一言、言葉を述べた。

「そうか、クリスマスはキリストの誕生を祝う日だったけ」
あらためて、そう思って驚いた。日本にいるときは、クリスマスといえば、子供のときには高価なプレゼント、大人になってからは、高級レストランでの食事や彼からもらう宝石やブランドのバック、1年間働いた自分にご褒美と称してアロマセラピーの全身マッサージを受けに行く・・・そんなイメージしかなかった。
ところが、ここでは、クリスマスは純粋にキリストの生誕を祝う日。本来のクリスマスの由来どおり、素朴で真摯な日なのだった。

神父さんの言葉が終わると、天使や村人の格好をした子供たちは、マリアとジョセフ以外は全員、別の部屋へ移り、遅いディナーを食べ始めた。ステージ横に控えていたバンドが演奏を始める。ステージの上にいるマリアは両手を合わせて祈りのポーズのままで立ち続け、ジョセフも真面目な顔で立ち続けていた。マリアとジョセフに選ばれた2人は、たぶん、11歳か12歳で、クリスマスの一ヶ月前ぐらいから、ほとんど、毎日、バンドと一緒に村をパレードしていた。その2人にとっては、今夜が最大の仕事なのだろう。2人とも、何時間も立ち続けているのはつらいだろうし、ほかの子供たちが座ってディナーを食べている間も、じっとしているのは、大変なことだろうけれども、きっと、お祝いのメインであるマリアとジョセフに選ばれることは、彼らにとっても、家族にとっても名誉なことなのだろう。2人とも背筋をピンと伸ばし、顎を上げて凛々しい表情をしていた。

さて、次は何が起こるのかと思っていると、大きなカゴを持った人々がどこからか現れた。カゴには、直径20センチほどの平たい揚げパンが山盛りに載せられている。それが、一人一人に配られ、小さなコップに入ったワインやメスカルと呼ばれるメキシコのお酒、それに男性にはタバコが配られた。バンドの演奏を聴きながら、みな、思い思いに揚げパンを食べ、ワインを飲む。揚げパンは砂糖とシナモンが振ってあり、とても美味しい。ワインは、とてもコクがあった。そのあと、今度は、大きなカゴに入ったプレゼントを持った人たちが現れた。クリスマスのイラストが書かれた袋に何かが入っている。それも、ひとつずつもらって、帰ってきた。

夜は、もう、とっぷり暮れていた。村のはずれまで歩いてくると、街灯がなくなり、突然、闇に包まれる。空を仰ぐと、満天の星だった。

帰宅して、プレゼントの袋を開けた。むき出しのクッキーが2枚、キャンディーが2つ、ウエハースが2枚、小さなスナック菓子の袋が1つ入っていた。シンプルで小さなプレゼントが、しみじみと心にしみて、嬉しかった。村の人たちも、みな、大人も子供も、この小さなプレゼントをとても喜んでいた。彼らの純粋さが、また、さらに嬉しかった。

お茶をいれ、テラスに出て、星空を眺めた。ポールはカメラを出して、最近、毎晩やってくるヨタカの写真を撮り始める。
「ああ、クリスマスプレゼントに流れ星を見せてもらえたら、嬉しいなあ」と心の中で思っていると、10分後ぐらいに、つつーっと一筋、星が流れた。
「ありがとう!神様!!」心の中で感謝した。

41年の人生のなかで、一番素敵な、一番心に残るクリスマスイブだった。
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by lifewithmc | 2007-05-02 07:33 | メキシコ・山の暮らし

1年で一番短い日

12月23日(土) 冬至 晴れ 

日の出が10分遅くなる。1年で一番短い日。昨日がとても暖かかったので、今日は寒く感じる。鳥たちも、なかなか、外へ出てこない。

朝からポールがかなり激しく頭痛を訴える。「塩素水のせいかも?」と思いついて、水を全部、捨てる。私は、コーヒーメーカーとキャンプ用のガスコンロを使ってお茶を沸かして飲んでいたので、大丈夫だったらしい。夕方、村へ行って1.5リットル入りの飲料水のボトルを買うことにする。

午後、水曜日にエトラのマーケットで買ってきたプリンスメロンを1個、丸ごとジュースにして飲んだ。なんという贅沢!といっても、プリンスメロンは3個で25ペソ(約250円)という格安のお値段。ありがたい。

夕方は、歩いて村へ行く。村中がクリスマスのイルミネーション。ここのところ、毎日、朝6時から夜11時ぐらいまで、ひきりなしに打ち上げ花火の音が聞こえる。クリスマスまでは、毎日のように花火を上げるのがメキシコの伝統らしい。

「花火の音は大きければ大きいほど、邪気を払うので縁起がいい」と言われているらしく、街中がまるで戦場のように花火だらけだった中国の旧正月を思い出す。

6世紀のころ、すでに中国とメキシコは交流があり、マヤ文明は中国文化の影響も受けていると教えてもらった。花火の伝統も中国から来たのだ、という人もいる。村の教会へ行くと、バンドが音楽を奏で、村の人たちが花火を打ち上げ、パレードをしていた。明日は、クリスマスイブだ。
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by lifewithmc | 2007-05-02 07:29 | メキシコ・山の暮らし