エッセイスト菊池木乃実のブログです。環境活動家の夫、ポール・コールマンと共に南米チリのパタゴニア地方に在住。ホリスティックで持続可能なライフスタイル実践中


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今、私たちは、韓国にいます。

ポールの自叙伝が韓国語で出版されたので、それのプロモーションと講演会&植樹をしようとやってきたのが、8月6日。それから、あっという間に1ヶ月経ってしまいました。

韓国では、忙しい毎日でした。ソウルで記者会見をしたり、雑誌や新聞のインタビューを連日受け、新聞では、中国の環境汚染は想像を絶する。イギリス人、環境運動家のポール・コールマン氏が語ると、大きなニュースが出ました。

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韓国で出版されたポールの自叙伝(グルムコ出版)


ソウルの後は、有機農業村で有名な洪城郡洪東(ホンドン)村に滞在し、市長さんや村長さんと木を植えたり、(ここの市長さんは、100万本の木を植えると公約して当選し、すでに50万本、木を植えました。そして、村長さんは村に1000本の桜を植えました)、小学校、中学校、普通高校、農業高校、農業専門学校の5つの学校で講演し、生徒さんたちと木を植えました。

今日は、その洪東(ホンドン)村にある、めちゃめちゃ感動した有機農業村のことを書きます。

その村は、文堂里(ムンダンリ)にある「洪城環境農業村」です。環境農業村の顧問をしている朱(ジュウ)さんが、ぜひにとご招待してくれたので、ポールと見学に行きました。

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ピースフルな文堂里


文堂里には、年間2万人の人々が世界各国から見学に来るそうで、立派な教育センターや食堂、宿泊施設などもありました。全て村の人たちの共同出資で作られていて、有機米の精米工場、加工工場、それを販売する生協まで、全て村の人たちの共同経営で利益も平等に配られています。

文堂里の有機農業の特徴は、合鴨農法。現在は、10万羽の鴨がいるそうです。

合鴨農法がいいとは知っていても、どうしてなのか、知らなかったので、通訳として一緒に行ってくださったプルム農業技術専門高校の元校長先生、洪(ホン)先生に聞いてみました。

すると、面白いことがわかりました。

まず、鴨は田んぼの雑草を食べてくれる、そして、その糞が栄養になる。
ふむふむ、そこまでは、聞いたことがありました。

次は、鴨が水かきを使って泳ぐので、土がかき回されて、土の中に酸素がたくさん含まれるようになる。
なるほど。

「でもね、7つある合鴨農法の効用の中で、最も大切なのは、これ」と洪(ホン)先生。

「鴨が田んぼを泳ぐと、鴨の柔らかい羽が稲に触るでしょう?そうすると、稲は羽でマッサージされたようになる。鴨にマッサージされた稲は、マッサージされない稲に比べて、背が高く、実が大きく重く育つようになるということが実験でわかったんですよ」

ほお~!なるほど。稲もそーっとマッサージされると気持ちよくなって、愛情を感じて、大きく育つのでしょうね。クラシック音楽を聞かせるとニンジンが大きくなるとか、愛情を持って話しかけると、野菜の味が濃くなるとか、聞いたことがありますが、稲も野菜も、生命あるものですから、こういうことは、本当にあるのだと思います。

また、合鴨農法の良いところは、土が健康になるので、害虫の被害を受けにくくなるということもあるそうです。

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健康で力強い印象の稲たち


文堂里では、土を健康にするために、微生物と米ぬかを混ぜたペレットを田んぼに撒いているそうですが、(プルム専門学校には微生物を研究している先生もいます)、そのほかに肥料は村から出る野菜くず、食べ残しなどをまず家畜(オーガニックの牛や豚、鶏)に与え、家畜の糞を堆肥として稲に与えるんだそうです。

そうすると、土が健康になり、免疫が上がって、たとえ害虫が発生しても病気にかかりにくくなるのだとか。もし、害虫の被害が発生しても、一斉に広まることは鳴く、一部の稲だけで被害が済むのだそうです。

なるほど、人間と同じで、免疫を上げると病気にかかりにくくなるのと同じなのですね。そうすると、稲は病気にならないので、農薬も全く必要ないし、雑草は鴨くんたちが食べてくれるので、除草剤などもいらないということなんですね。

それと、もう一つ、とても印象に残ったことがありました。

それは、村の生活廃水の浄化システムです。

人が住んでいれば、トイレの排水、洗濯した洗剤の水、お風呂の水、台所からの水など、排水が出ますよね。

その排水が田んぼや畑に影響を与えないように、まず、洗剤、シャンプー、石鹸などは、微生物とお米から作った油とお酢を混ぜて作ったものを、みなで使っているそうです。これは、グリーンコープにも売っていました。石鹸は手作りで、村のお母さん、奥さんたちが作っています。

そして、排水は、すべて、村の中心にある池に流されます。この池は、たしか10個ぐらいあったと思います。田んぼだったところを利用して、自然に最初の池から最後の池まで水が流れるようになっています。

まず、最初の排水を流す池には、浄化作用のある植物が植えられており、少し低くなった次の池には、また別の植物が植えられています。そして、次の池には、また違う種類の植物が・・・

こうして、最初の池から最後の池まで、様々な種類の植物が植えられた池を排水が通って、自然に浄化されていくのです。これには、本当に感動しました。

まず、トイレの排水が直接流れてくる池は、全く匂いがしないのです。見た目は、大きな植物が元気に育っている植物園のように見えます。2つ目の池には、蓮の花が咲いていました。そして、次の池には、タニシがたくさん。最後の池は、透明な水の中に魚が育っていました。

最後の池で完全に浄化された水は、田んぼに流れていくのです。生活廃水の浄水場が、こんなに美しい庭園になるなんて、本当に素晴らしいと思います。世界中に広まってほしいシステムです。

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匂いがまったくしない浄水池に感動。
水は栄養たっぷりなので蓮もよく育ってます


村では、900ヘクタールの有機米の田んぼがあって、お米の他には120種類の有機野菜を育てているそうです。それを毎日、2台のトラックに積んで、ソウルなどの大都市にいる生協会員のお宅に配送しているのだそう。これからは、都市へ配達するだけでなく、都市からたくさんの人に買いに来てもらえるように、直売所も作るそうです。

文堂里の村は、本当に、土地が健康で元気があるなあという印象でした。そこで働いている人も、とても満ち足りていて、幸せそうな人ばかり。

農薬や除草剤や化学薬品がない健康な土地。健康な水。健康な食べ物。そして、そこに暮らす人々は、心も身体も魂も、健康で満ち足りた人々ばかりなのでした。

そうそう、洪東(ホンドン)村にあるグリーンコープと本屋さんには、店員さんがいません。みな、好きなものを買ってリストに名前を金額を記入し、お店に置いてある箱やカゴにお金を入れていくシステムなのです。

「正直さ」と「お互いの信頼」と「公平に分け合う」ということに基づいて運営されているコミュニティー。

有機農業という形で循環型・自給型の村づくりを実践している文堂里は、まさに、これからの地球に必要なヴィジョンを実現しているコミュニティーなのでした。
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by lifewithmc | 2008-09-12 23:08 | 韓国の旅