エッセイスト菊池木乃実のブログです。環境活動家の夫、ポール・コールマンと共に南米チリのパタゴニア地方に在住。ホリスティックで持続可能なライフスタイル実践中


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ブログ再開します

中国を歩く旅も終わり、こちらのブログも再開することにしました。

ゴールは8月8日の北京で迎えるはずだったのだけど、それが、予期せぬビザ問題が発生し、北京の140キロ手前で突然、終わりを迎えることに。。。

残念だったし、できれば、北京まで歩きたかったけど、残り4日で140キロ、毎日35キロずつを猛暑の中歩くのは非現実的。

「僕らがしてるのは、レースじゃない。北京に着くのが目的じゃない。これまで、歩いてきて、たくさんの人に会って、環境保護のメッセージを伝えて、木を植えることができたことが目的なんだ。僕らが見たこと、聞いたこと、すべてが大切なんだ」というポールの言葉に、全員、納得し、天津で終了とすることにしたのでした。

いつでも、まっすぐに一本筋が通っていて潔いなあ、ポール・・・と、尊敬。

このことは、「環境保護活動をしていたことがオリンピックの妨げになると当局に判断されたのではないか?」と騒がれ、香港、日本、イギリスの新聞などにもニュースとして、取り上げたれたりもして、ちょっとセンセーショナルだった。

でも、ビザが出なくて、オリンピック前に中国を出てくださいよ、と事実上、言われたにも関わらず、中国を出る前日に、国営ラジオ局に呼ばれて、「グリーン・オリンピック・ウォークどうでしたか?」などど、ポールがインタビューされたりしたので、環境保護活動そのものが原因で、ビザが下りなかったわけでもないのかな・・・と思ったり。

最後のビザを延長しにいった天津の警察も、実に不可思議だった。
警察官の人たちが、「新聞記事、見ましたよ。あなたたちのしていることは、素晴らしい!」と拍手をしてくれたと思ったら、ビザの料金が通常の2倍の320元になっていて、「どういしてですか?」と聞いたら、しばらく奥へ引っ込んで、なかなか出てこなかった。で、出てきたと思ったら、「あ、まちがいでした。160元」と言い、ビザを出してくれたんだけど、外へ出てから、パスポートを確認してみたら、8月6日までしか出ていなかった。

警察に戻りたくても、金曜日の午後4時過ぎ。警察はもう閉まっていたし、申請したときに、「8日に北京に歩いてゴールするから、14日ぐらいまでビザが取れるのなら、お願いしたい」と言ってお願いしていたのだから、全くわけがわからなかった。

ともかく、最後の3週間は、歩いていると警察に何度も止められ、オリンピックだからという理由でパスポートを見せてくださいと言われたり、ポールは、一度切れたビザが「オリンピックで担当者がいない」という理由で延長してもらえず、ビザなしで3日間もホテルに滞在しなければいけなくなったり、山東省の北部から河北省にかけては、とにかく、信じられないくらい公害がひどくて、1時間歩いただけで、頭痛がしてしまうほどだったし、(化学工場からの有毒な排気、強烈な農薬散布、真っ黒なコールタールを流したような川が何キロも続いて、汚臭を放っているなど)自分たちの健康状態も心配なくたいだったから、最後に天津で突然、ストップ!になったときも、ものすごく残念な反面、「あ、これでもう、歩かなくてもいいんだ」というほっとした気持ちだったことも事実だった。

中国に半年住んでいるローレンが、一緒に歩いたときに、「中国は、1日いたら1冊本が書ける、1週間いたら、数本、原稿が書ける。でも、1年いたら、混沌としすぎていて何も書けない」と言っていたけど、本当に、何がなんだか、よくわけがわからないチャイナ。

人は明るく、親切だけれども、環境のことは、全然、何も知らされていない。
彼らも、自らを危険にさらして生きていることを知らない。
農薬をまいているのに、誰もマスクをしていない。
汚臭を放つ川で魚を釣って、食べている人がいる。

もちろん、自然が残っているところもあった。
でも、透明な川を見たのは、330日のうち2日だけ。

こんな状態で暮らしていたら、きっと、そのうちみんな、得体の知れない病気になるのではないかしら。

そんな人を見ていると、時々、自分が未来からやってきたエイリアンになったような気がした。
「こんなことをしていたら、将来、身体を壊しますよ」
「このままだったら、地球はとことん汚れて、資源も尽きて、人間は生きられなくなっちゃいますよ」

そうやって、未来から警鐘を鳴らしているような。

でも、そんな未来からの警鐘は、ほとんど無視されちゃうんだよね。
映画とか、物語では。
そして、気がついたときには、すでに崩壊は始まっている。

そんな中で、立ち上がるヒーローがいる。
映画だと、ヒーローが世界を救う。

じゃあ、今の世の中、誰がヒーローなの?
誰がリーダーなの?

ポールがそれにこう答えた。

僕ら、一人一人が、リーダーだ。
僕ら、一人一人が、ヒーローだ。

僕ら、一人一人が、変えて行くんだって。

そうだ。そうだよ。
そのために、私たちは、3140キロ、自分の足で歩いたんだった。

また、新しい物語が始まるね。
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by lifewithmc | 2008-08-12 00:15 | 中国・徒歩の旅