エッセイスト菊池木乃実のブログです。環境活動家の夫、ポール・コールマンと共に南米チリのパタゴニア地方に在住。ホリスティックで持続可能なライフスタイル実践中


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死んだ魚、汚れた空気と水とゴミ

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今日は、私たちが見た環境汚染について書きます。

【魚の大量死】
アモイの郊外を歩いていた時のこと。小さな川を渡っていると、川面にきらきら光るものが大量に流れているのに気づきました。何だろうと思って、立ち止まると、それは死んだ魚でした。川にはゴミがたくさん流れており、その間を大量の死んだ魚が流れていたのです。川の汚染によって大量に魚が死ぬということはニュースで見たことはありましたが、目の当たりにするのは初めてで、かなりショックを受けました。

私たちが写真を撮っていると、何人かの人々が立ち止まり、川を覗いては何事もなかったかのように通り過ぎて行きました。そのなかで、一人、電信会社のヘルメットを被った若者はバイクから降りて、かなり長い間、川を深刻な表情で眺めていました。私たちは、知り合いの農業局の人に電話をし、魚が死んでいることを報告して、歩き続けました。

しばらく川に沿って上流へ歩くと、川の水がすべて枯れ切ってしまっているのに気づきました。川底はあちこち掘り下げられ、元の川の形がわからないほどの状態になり、川底からほんの少し水が湧き出ています。なぜ、こんなに?と思っていると、地元の人たちがそれぞれ自分のパイプとモーターを持参して、川から水をくみ上げているのに気づきました。水をくみ上げている先は、野菜畑です。川の水が枯れ木ってしまったので、川底を掘って、野菜に水を撒いていたのです。

「川の魚が死んでしまったのは、このせいかもしれない」とポールが言いました。川の水量が減った上に、農家の人がくみ上げてしまったので、川に流れている農薬や化学薬品などを川が希薄化しきれなくなってしまったのではないかと。

農家の人は、農薬を撒き、農薬が川に流れ出し、それをまた、くみ上げて畑に撒く。その野菜は出荷されて、たくさんの人々の食卓に並ぶ。きっと私たちも気づかないうちに食べているのだと思います。

【ネオンと真っ黒な川】
そこから2日、歩いて、晋江(ジンジャン)という町に着きました。その街に着くと、川に大量のビニール素材が捨てられているのに気づきました。この町は、靴を作っている町です。合成樹脂、ビニールなど靴の素材があちこちに捨てられていました。そして、川は真っ黒でした。なぜ、そんなに真っ黒なのかわかりません。空気は、目の前でヘアスプレーを吹き付けられたかのように、強いが化学薬品の匂いがし、息が吸えませんでした。

夜になると、この町はまるで渋谷のよう。ネオンがあちこちに輝き、外国のビジネスマンも多く滞在するのでしょう。豪華な4つ星ホテルが何件も立ち並んでいました。でも、そのネオンがきらめく4つ星ホテルのすぐ横を流れる川は、まるでトイレのような匂いなのです。川の真ん中に噴水を作って、川の水を循環させているのですが、それがまた、トイレの匂いを町中に振りまいているという具合。

世界中に靴を輸出して、町はどんどん豊かになり、町中がイルミネーションで飾られている。でも、空気や水をきれいにするためには、まったくお金は使われていないのではないかと思わずにはいられませんでした。

【晴れない空】
晋江の隣、泉州(クァンチョウ)は、近代的な町です。高層ビルが立ち並び、道路には車が渋滞。週末は皆カラオケに繰り出し、スーパーマーケットは買出しの人々で大混雑。ここも、経済発展によって裕福になった町です。でも、やはり空気と水が汚れています。ホテルの窓から見る景色は、晴れた日でもグレイです。町を流れる水路は、緑色です。

【ゴミ】
裕福になった町は、空気と水は汚れていますが、町はきれいに掃除されているところが多いです。道路にはゴミ箱が設置され、ごみ収集のための特別な容器も用意されていて、町の人はそこにゴミを捨て、ゴミ収集車が収集に来るというシステムはあるようです。でも、都市を出ると、普通の町には「ゴミ収集のシステムがあっても、収集容器がない」ので、ゴミは道路に捨てられ、ハエやネズミの溜まり場になっています。また、さらに農村では、「ゴミ収集のシステムもなく、収集容器もない」ので、各自が家庭ごみを川の土手や道路沿いに捨てて、野焼きをしているという状況です。

私たちが歩いていて毎日感じるのは、水と空気とゴミ問題。
中国の人は、3億人がきれいな飲料水を手に入れることができない地域に住んでいるそうです。
汚染された空気を吸っている人は、いったいどれくらいいるのでしょう。
汚染された川で魚を採り、川岸で売り買いしている人たちも見かけました。
汚染された川から水を取り、畑に撒いている人はたくさんいます。
ゴミ収集システムがないので、ハエやネズミが大量にいます。プラスチックゴミも野焼きされているので、ダイオキシンも出ているでしょう。

中国の人は、みなが急速にお金持ちになり、アメリカ型のライフスタイルを享受しています。車を買うのはみんなの夢。2台目の車の購入を考えている人も多いとか。裕福な家庭には、家電製品が溢れ、都市はネオンで輝いています。今後、10年間、中国はベビーブームでどんどん人口は増えるそうです。みんながお金持ちになって、贅沢な生活を享受したいと思っています。電化製品を買って、車を買って、贅沢に便利に暮らしたいと・・・

でも、地球がそれを支えきれないことは明らかです。

先日、「アメリカ型のライフスタイルは終わりを告げる」と警告しているドキュメンタリーのクリップを見ました。
(映画『エンド・オブ・サバービア』 http://www.endofsuburbia.com/ )
つまり、日本の私たちのライフスタイルも、終わりを告げるということです。

悲観的になるのではなく、現実的になる時が来ていると思います。
受け入れて、変わる時期が来ていると思います。

もうこのままでは、続かないことは明らかです。
今すぐ、立ち止まり、方向転換することが必要です。

(写真上 死んだ魚)
(写真中 ビルの谷間を流れる水路は緑色)
(写真中 町角にはゴミ)
(写真下 空は灰色)
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by lifewithmc | 2007-12-17 11:55 | 中国・徒歩の旅